var:Int!が読んだ本の中でも、特に歴史オタクの方々へおすすめしたい本を勝手に紹介する、おさかな本棚シリーズです。
第一回はこちら!
坂野潤治著『近代日本史』
-
基本情報
出版年:2012年3月11日
出版社:筑摩書房
著者備考:東京大学文学部国史学科出身、東京大学社会科学研究所教授、千葉大学法経済学部教授、後に東京大学名誉教授
概要
幕末期(アヘン戦争)から昭和期(盧溝橋事件)にかけての政治史の概要を追った作品。近代日本史を6つの段階に分け、西郷隆盛(第一部)、原敬(第五部)などのキーパーソンを軸に、第一部、第二部では重要な藩士や政治家、第三部以降は主に議会とジャーナリズムの動きに重点を置いて議論が展開される。
十五年戦争をあえて右派新聞記者の視点から描くなど、独特で面白い切り口の箇所もあれば、一般書だからこそ普段論文では書け無さそうな意見を挟んでいるのも味わい深い。
谷干城、渡辺国武など、大学近代日本史概説レベルの人物の名前、立ち位置を知っていることを前提にハイテンポで登場人物が入れ替わるため、参考書や資料集など高校日本史から一歩踏み込んだ事前知識があると良い。
ただし、事前知識なんてものは量をこなせば勝手に追いつくので、正直言って特に身構えるものでもないと思う。物事、まずは準備する者より、まずは実践する者が先に伸びるのである。それに、キーパーソンは概ね高校日本史レベルの人物です。
え?高校では世界史B、または世界史探求をとったから分からない?じゃあ山川出版社の『もういちど読む』シリーズを片手に読めば良いんじゃないでしょうか。
というか自分も高校は世界史をとって今こんなサイトやっているので、別に……気にする必要ない!本当に好きなものの前には、怯むことはない。
個人的な感想
第一回にこの本を選んだのは、昨年の冬、自分が政治史を改めて体系的に調べ直そうとした時に手にとった本だからです。
加えて、坂野潤治先生と言えば、私が田中義一内閣を勉強をした際に『近代日本の外交と政治』などでお世話になった、近代日本史、特に政治史方面における大家です。私の先生も、政治史研究の基礎勉強に坂野潤治先生の本を挙げていました。
さて個人的に坂野先生の文体について書くとすると、やはり、他人におすすめしたくなるだけあって、分かりやすい!
特に、この本は一般書であるため、人物の行動を描く際に、どこか感情を引き立てるような描き方をしている箇所もあるところが良いですね。
第二部の明治維新期(明治十年代)における、様々な派閥(大久保-富国派、木戸-憲法派、板垣-議会派、西郷-強兵派)に属する人物の駆け引き、悲哀など最高の見どころ。
また一方では、先生、なかなか好き嫌いを出してくる方です。西郷隆盛なんてもう初っ端からあからさまにLoveを表明しています。逆に原敬に対しては、「俺達の先代は褒め称えたが、俺はそうじゃないぞ」と啖呵を切る批判の仕方。
先生は若い頃学生運動に参加された方でもあるためか、藩閥、保守勢力に対抗する革新勢力が好み?
特に吉野作造は政治家でないにも関わらず、肯定的に手厚く描かれており、また、吉野の筆による普通選挙法最後の壁にして、藩閥保守勢力最後の大人物、原敬への批判文を載せて論じている。とはいえ、原への人格攻撃などは無いため、ご安心下さい。
なんでこんな怖い断り文句が必要なのか……⁉️政治史の一般書は、学者の本でさえも”まれに”特定の人物に対して罵倒が飛ぶからです😢
頻繁に視点が変わったり、先生の切り口や描き方が面白かったり、全体的に面白く前のめりに読むことができました。
オススメしたい人
