短編集(近代財界擬人化)

近代財界擬人化小説の短編集。


  1. 年上として p.2
     東洋製鉄戸畑製鉄所に対して、年上にあたる官営八幡製鉄所と二瀬炭鉱の話。大正末期位が舞台。史実の話は特にない。
     ある朝、八幡が長官舎の階段を登っていると、上から戸畑と二瀬の何かを言い合っている声が聞こえてきた。八幡は頭を抱える。同じ場所に暮らす家族であるのに、彼らの仲はどうにも良くない……。
  2. 満月も沈みゆき…… p.3
     安田銀行と三井銀行。明治17年が舞台。三菱商会や第一銀行も会話の中でのみちょっと出てくる。
     ある満月の夜、安田が外食をしようと出歩いていると、両国橋の上で三井銀行を見つけた。普段は滅多に会話することがない分、彼には興味が湧く。安田は黒い水面に浮かんだ満月を見つめる三井に声をかけた。話をするうちに、安田はやがて三井の苦悩の一端を見る。
  3. マージナルから踏み出す時 p.4-6
     東京海上と三井物産。明治31年2月のロンドンが舞台。横浜正金銀行と平生釟三郎も出る。第一銀行も会話の中でのみ出てくる。
     同じ事務所で働き、同じ下宿に帰る幼馴染の東京海上と三井物産は、よく一緒に夕食をとる。正反対の性格をした二人は今日もまた口論になった。だが、兄貴分の物産に言われた、もっと愛敬を持てという言葉は、人見知りの東京海上にひどく刺さった……。